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商品開発スト-リー/まだ見ぬ何かを生み出すための、新しい出逢い。野村漆工芸 漆芸家 野村武雄 | Atelier 8845 WEBMAGAZINE | 8845story

商品開発スト-リー

まだ見ぬ何かを生み出すための、新しい出逢い。野村漆工芸 漆芸家 野村武雄

まだ見ぬ何かを生み出すための、新しい出逢い。野村漆工芸 漆芸家 野村武雄

アトリエ8845がMade in Japanのプライドを持って「何か新しいこと」への取り組みを考えた時に、「日本の伝統工芸の魅力を発掘したい」という想いが芽生えてきました。まだ存在しないけれど、アトリエ8845だから生み出せる皮革製品。唯一無二の表情を生み出すために必要なものは何かを考え、求め、出会い、つながった縁。それが、『野村漆工芸』の漆芸家・野村氏です。あえてゴールは想定せず、まず日本の伝統工芸である漆塗り、野村武雄の世界を知ることから始めました。まだ、どこにも存在しないものが生み出されてゆくストーリー。いま、その1ページ目が開かれます。

 


■野村漆工芸 漆芸家 野村武雄(雅号 佳生)

漆芸家としての探究心が枯れることは、この先もないよ。

 

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ーー輝かしい数々の受賞歴と実績を持つ漆職人、野村さん。同じく漆職人であるお父様に師事して学ばれたそうですが、いつ頃から職人を目指したのですか?

 

うーん、いつからなんでしょう?物心がついた時には毎日のように父の工房に通い、学校の勉強はそっちのけで漆に触れていましたね。作業をする父の姿が格好良く見えたからなのか、漆の性質自体に興味があったのか、今となっては覚えていませんが、幼い頃から学校の後は父の工房で過ごすのが日常でした。いわば「人生のスタート時には、職人を目指して生きていた」ことになりますかね(笑)

 

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二十歳になり、就職を機に本格的に漆職人としてデビューしました。その後、研究員として出向した先で、漆塗りと化学塗料の比較などの研究に没頭。そのおかげで漆の特性をロジカルに理解し、解明することができました。その後、まわりの方の支えもあり、33歳で「野村漆工芸」を設立。漆芸家として独立したんです。

 

ーー物心ついた頃には職人への道を歩いていたなんて、すごいですね。きっと漆の持つ特性さや、お父様の手から生み出される漆塗りの美しさが、学校で学ぶ実験よりも野村少年の心を掴んだのでしょう(笑) 就職先で研究職に就いて、漆の特性を数字的に解明したことも、その後の職人人生の基盤になっているのですね。

 

遠い昔、きっと野村少年は父の技術を通して生み出される漆の美しさや、伝統工芸の奥深さに純粋に魅了されたんでしょう。決して勉強をさぼりたかった訳ではないですよ(笑) 漆は塗り方によって名前も変わるし、濃度や環境によって仕上がりも変わる。水分が蒸発して乾燥してゆく一般的な乾燥とは真逆で、漆は湿気を取り込むことで乾燥していくんです。そんな不思議な特性を理解して進めてゆく工程、職人の腕によって生み出される美しい塗りなどの奥深さに、私の探究心は加速するばかりでした。

 

ーーとても初歩的なことをお聞きしますが、漆は何からどうやって摂取するのですか?

 

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「漆」とはウルシの木の樹液を精製した天然樹脂塗料なんです。その主成分であるウルシオールには高い殺菌効果があり、これが、かぶれの原因となると言われています。一度乾燥させたものには、どんなに触れても肌はかぶれませんのでご安心を。日本の漆には高い抗菌性や防カビ効果、防水性などさまざまなメリットがあり、古くから天然塗料として武士の鎧などに使用されていました。また、椀や重箱など食品を入れる器に施されることが多く、昔から疫病予防にも一役買っていたと言われています。
私たちが行う樹液採取の方法は、できるだけ樹木を傷つけたり負担をかけたりしないよう、専用の道具を使った『養生掻き』という手法で採取しています。少量の樹液しか採取できませんが、長く漆の樹液を採取できるお互いにとって最良の採取法です。そして、その樹液を特殊技法で精製した飴色の液体が漆なんです。混ぜると白濁し、しばらくすると元の飴色に戻る。まるで生きているかのようだと驚く方もいるくらい、色が変わるんですよ。やってみましょうか?見ているうちに色が変わるんです。

 

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ーーウルシの木は日本だけではなく海外にもあるのですか?

 

はい。日本、韓国、中国をはじめ東南アジア方面など、海外にも生育しています。ですが、樹脂の成分濃度や質を比較した結果から、日本産が最高級レベルと言われていて、精製の技術も高い。約9000年〜1万年前、日本の地で漆塗りを施した最古の装飾品が出土されたことから、日本が漆の起源とも言われています。日本の職人が生み出す伝統工芸品の美しさもさることながら、漆の品質の良さにおいても、漆が世界から「Japan」と呼ばれる所以でしょうか。漆自体の相場も日本産のものは海外のものに比べて約5倍以上の値が付いています。日本では塗料としての役割が多い漆ですが、オランダでは純度を高める精製法ができなかったこともあり、天然のフェノール樹脂「接着剤」として用いられるのがメインでした。

 

ーー漆は世界からジャパンと呼ばれているんですね!

 

そうなんですよ!余談になりますが、1998年に開催された長野冬季オリンピックの際に漆塗りメダルを授与したことで、近年、より日本的なイメージが強くなったかもしれません。漆でこそ出せる艶やかな美しさは、決して派手な華美さではないですが、凛とした美しさがあります。日本では古くから、自然素材でありながら優れた防腐効果や耐久性、高い防水性を持つ特性を活かし、神社仏閣の神殿や鳥居、「自鉢」と呼ばれる僧侶の食器にも漆塗りを施しています。日本の本漆は特に純度も濃度も高いので、漆が持つ特性のレベルが高いんです。屋外でも50年以上効果が持つので、私が施した神社仏閣の塗りは「もう自分で修繕することはないだろう」と笑い話にしています。今できる最善の技で取り組み、次の修繕は次世代の漆職人に託します。

 

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ーー息子さんも漆芸家ですし、引き継ぎは安心ですね(笑)

野村さんの丁寧な手仕事から生み出される美しい漆塗り作品は、多数の賞を受賞していますが、作品の一例をご紹介ください。いただいた賞状も拝見したいです!

 

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賞状ですか?恥ずかしいな(笑) 私自身「職人としてまだまだ」だという気持ちも持っていますが、受賞や私の技術を認めてくださるご依頼は大変嬉しく、本当に感謝しております。小さなものから大きなもの、宝飾品や実用的なものまで扱ってきましたが、宮内庁より調度品や椅子のご依頼をいただいたことは日本人として大変誇らしい想いです。住吉大社の神殿ほか、神社仏閣の神聖な場所の塗りや修復も同様の想いですね。料亭の漆器類も多く手がけさせていただいております。口に触れるものなので美しさもさることながら、上質で安全な漆の目利きにも厳しさを持っています。少し珍しい塗りでしたら、雅楽器やバイクもありますよ。

 

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ーーバイクですか?!漆とバイク・・・。イメージがリンクしません(笑)

 

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ハーレーダビットソン・ジャパンの設立記念として、幕張メッセモーターショーに特別出品した漆塗りバイクです。風防・サイドカバー・リアボックス・サイドボックスなどに、純銀絵巻、螺釦仕上げを施しました。長い職人人生の中でもバイクに漆を塗るのは初めてのこと。曲線の多いフォルムなので美しく仕上げるために試行錯誤しました。和の世界観をクールに表現した作品で、幅広い年齢層の方々に喜んでいただけたことの達成感は大きかったですね。

 

ーー漆芸家は職人としての腕だけではなく、芸術家でもありますね!では最後に、漆芸家としてこれから目指すものを聞かせてください。

 

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親から子、そのまた子へと、世代を越えて受け継いでいける漆製品は何かと考えています。まだ挑戦したことがない、素材と漆塗りの融合も挑戦したいですね。物のデザインに個性がなくなってきているように感じることが多くなってきたので、いま身の回りにある当たり前の物に漆をプラスして、新しい魅力をアピールしたい。手で製作するからこその唯一無二の個性を付加価値にしたい。そして、長く愛用したいと思ってもらえるものを生み出したいです。数々の賞や評価をいただくことで、やりがいや安堵はありますが、本音を言えば、いまだに心底自分で満足できた作品がないんです。まだまだ自分の伸びしろを信じてます。漆芸家としての探究心が枯れることは、一生ないですから。

 

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いまなお最前線で漆の魅力と可能性を追求し、進化し続けている漆芸家、野村武雄さん。
野村さんが生み出す作品の美しさと人柄にすっかり魅了されました。一緒にものづくりに取り組んでみたい。そう思える貴重な出会いになりました。

 


 

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【プロフィール】

野村漆工芸  漆芸家 野村武雄(雅号 佳生)

福井県生まれ。幼少期から漆職人である父の工房に通い、漆に触れる日々を過ごす。父の技術を通して生み出される漆の美しさ、伝統工芸の奥深さに魅了され、必然のように漆芸家の道へ。丁寧な手仕事から生み出される美しい作品の数々は、多数の賞を受賞している。

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