
シンプル・機能的・色彩美。経年変化も楽しみたい。 こだわりをつめこめるのもオーダーだからこそ。
0から希望をカタチにする。100点の満足をお届けする。
どちらの感動も、職人の腕から生まれます。
美を生み出す瞬間をサポートする、感覚的な使いやすさを求めて
【オリジナルオーダーメイド】美容室『vendange』オーナー 中様
ヘアサロンオーナー・中様(以下、オーナー):今回、新しい店舗オープンのタイミングもあり、傷みが激しくなってきたシザー(はさみ)ケースをオーダーしようと思い連絡させていただきました。
アトリエ8845職人・森川(以下、8845):ありがとうございます!より詳しいご要望と、革の質感や色の好みをお伺いするため、いくつか革見本もお持ちしました。
オーナー:私たち美容師にとって、シザーケースは「それが無いと仕事が始まらない」アイテムですし、長年使っていく相棒です。ですので素材は経年変化が楽しめるようなレザーが良いです。このシザーケースは18年も使用しています。
8845:年季が入って「味」がでてますねー!
オーナー:もう「味」を越えちゃって(笑) ステッチ部分は一度縫い直してもらったのですが、ベルト部分が切れそうになってきたので二代目を新調しようかと。
8845:経年変化を楽しみたい場合は、ベージュのヌメ革を希望されることが多いのですが、カッコイイ雰囲気に仕上がる型押レザーも参考までにお持ちしました。耐久性を考えると柔らかい革よりも厚みとコシのある革がおすすめです。
オーナー:いろいろあるんですね!色の差だけでなく、厚みや表面の加工などでずいぶん雰囲気が変わりそう。
8845:もっとたくさんの色がアトリエにありますので、色や質感の好みを共有してから再度ご提案することも可能です。
オーナー:「ヌメ革が良い」というのは固まったのですが、色は悩みますね。僕は美容師になってから女性の目線の感性を大切にしていて、男っぽいものよりも女性的に可愛いものに共感を覚えるんです。なので新しいシザーケースはよく見る定番色ではなく「可愛いけれど格好良い」雰囲気のある色にしたいんです。細部の話ですが、金属パーツはアンティーク調の色にしてもらいたいです。
8845:可愛いけれど格好良い雰囲気があるカラートーンのヌメ革ですね。では後日ご希望に沿うような絶妙な色をセレクトしてきます。シザーケースの一部分の色を変えるのも、ロゴを入れるのも可能ですので、いろいろと楽しみながらお悩みください(笑) 続いて、オーダーの醍醐味でもある「形」を決めていきましょう。
オーナー:自分の希望を聞いてもらえた上でプロの目利きでセレクトしてもらえるなんて、さらに頼もしいです!形だけではなく色やパーツひとつひとつにこだわれるのもオーダーのメリットですね。
8845:全体の雰囲気に合わせてパーツの色も検討してみます。では、美容師の必需品であるシザーは何本収納できるようにいたしましょうか?
オーナー:いま僕は5本のシザーを使い分けているので、コーム3本とともにスッキリ収納したいです。シザーケース次第で作業効率が良くなると言っても過言ではないので、ダッカール(ヘアクリップ)やカラーの際に使用する手袋などがたくさん入るスペースも確保しておきたいです。
8845:シザー5種類にコームが3種類!作りたいヘアスタイルに応じて、それを叶える道具も繊細に使い分けるのですね。カット中に感覚的にサッと入れても刃先が当たらないよう、収納位置などのご要望はありますか?
オーナー:刃のためにも一本一本の収納場所が分かれていて固定できるほうがいいですね。入れやすいように互い違いの段になっていると出し入れがしやすく、刃先同士がぶつからないので。
8845:了解です。全体を型紙におこし、試作品も制作するので確認していただきながら進行できたらと思います。中に入った髪の毛を排出するための下部分のフラップや、全体的なデザインの希望イメージはありますか?
オーナー:私はシンプルで洗練されたデザインが好きです。同じくファッションもシンプルなものが好き。シザーケースは自分のファッションの一部みたいなもので、自分の美学がシザーケースにも現れると感じています。今回はせっかくのオーダーなので、「シンプルだけどありそうでないデザイン」を目指したいですね。
8845:シンプルにこだわるのなら、髪の毛を落とすためのフラップ部分を後ろにまわし、ステッチも同系色にしてスマートな印象にしましょう。
オーナー:これを機にゆくゆくはウチのオリジナルシザーケースを作るというのも考えていますし、女性スタッフも使いやすいように斜めがけが出来る形にしておきたいです。
8845:では、本体をベルトに装着する形状とは別に、斜めがけに対応できるようにパーツも付けておきますね。まずは型紙をおこして、ご要望の厚さと堅さのレザーで一度試作品を作ってみます。それと同時進行で革の色を最終決定していきましょう。
オーナー:試作品を作っていただけると、実際のアイテムを入れて使い勝手を試せるのでありがたいですね。美容師にとってシザーケースは作業効率に影響がでるので「使いにくいな」と思いながら使い続けるのはつらいですから。楽しみに待っていますので、よろしくお願いします!
後日、悩まれていた革の色もオーナーのイメージに合うものが見つかり、使用レザーが決定しました。工房ではお伺いした要望が記載された指示書を元に、職人が型紙を起こし、試作品を制作。実際の使用感を試していただき、多少の修正を経て諸々の希望が確定しました。
職人:これが全パーツの型紙です。これに合わせて革を裁断していきます。この革は厚めでコシがあるので耐久性も優秀。プロの道具入れなので、色は柔らかくてもゴツゴツした感じで仕上げたほうが格好良いんじゃないかな。
8845:この革の色でも経年変化は味わえますか?
職人:経年変化は起きるよ。時間とともに色の味わいが増してきて愛着も湧いてくるよ。
【工程】
1:指示書をもとに型紙を作成し、各パーツの素材・色・サイズなどトータルで確認
2:型紙に合わせて革を裁断
3:縫い合わせしやすいように必要箇所を薄く「すく」
4:可動する部分やタフさなど、部分によって適した厚みに調整して貼り合わせる
5:革の裁断面のコバ塗り(透明ニスよりも同色の方がキレイに仕上がると感じたので)
6:シザーを入れるポケットは強度を高めるためカシメ加工も
7:シェーバー入れも追加
8:底に芯地を挟み厚みを持たせる(パーツによって芯地の有無を調整)
9:ベルト部分の留め具、開閉フラップ部分はハトメ加工に
10:全面ポケット、本体、ベルト部分の組み立て
11:検品・仕上げ
【完成後】
8845:試作品作成からシザーを入れるポケットの高さを微調整をしてもらったので、使い勝手も希望に沿うものになりました。
職人:シザーのポケット位置はお客様の要望で位置を1cm下げたよ。縫製だけだと強度が弱いのでカシメを打って正解。見た目は極力シンプルなデザインに着地させたよ。
8845:逆にスッキリ見せたい部分は強度を考えつつ、ミシンに変更してくれたんですね!タフさも必要ですし、デザインのシンプルさとのバランスもお客様のご希望通りです!
職人:側面も美しく仕上げるように裏で糸止めをして、緩みやほつれがおこりにくい仕立てにしたよ。シンプルさを優先したらタフさが劣る、なんてことは職人として妥協できないからね。お客様からの要望にこたえるのが第一!喜んでもらうことが一番!
■職人の希望を職人が具現化したシザーケース。気に入っていただけることを信じて、さっそく完成したシザーケースをお届けにあがりました。
8845:完成したシザーケースがこちらです。
オーナー:ありがとうございます!シンプルで洗練された印象ですね。革の色もハイブランドでも使われているような絶妙で上品なニュアンスカラーでとても素敵です。女性が見てもかっこいい色だと思います。色もスタイルもイメージ通り!こだわりたかったイメージに合う色をセレクトしてくださったおかげです。
8845:この革は「扱いやすく丈夫さのあるクロームなめし」と「経年で味わいが増す」タンニンなめしの双方の良いところを併せ持つ「コンビなめし」という方法で加工された革です。発色が美しく、傷がつきにくいのが特徴です。
オーナー:求めていることを叶えてくれる、イイトコ取りのヌメ革なんですね!この端(コバ)の処理もきれいですね。
8845:わぁ、その苦労を褒めてくださって嬉しいです!私は染色専門なのでコバの色作りを担当したのですが、最初3色から始まり、様子を見ながら合計10色ほどを混ぜ合わせて作りました。この絶妙な色はもう2度と作れないかも(笑)
オーナー:まさに奇跡の配合ですね(笑) 試作品で1cmポケット部分を下げて調整していただいた部分も、シザーが絶妙に沈んで落ち着きが良くなりました。1cmの差でもずいぶん使い勝手が変わってくるので「感覚的に使いやすい」のが必須条件なので。
8845:長年使用してくるとコバもが擦れて色が変わってくることがありますが、その時に別の色に変更することも可能です。では全体的なデザインはいかがですか?
オーナー:前面ポケットにダッカールがスッと入れられてスッキリ収まりまるのと、下部のフラップも後ろにまわしたことでスマートな佇まいです。金属パーツのアンティークゴールドの色味も素敵です。
8845:全体的にご希望の形に仕上がったでしょうか?
オーナー:はい、大満足です。じっくり要望も聞いてもらえたし、職人ならではの提案もしていただけたので楽しく取り組めました。サロンオリジナルのシザーケースを作る時は、ぜひお願いしますね!
【プロフィール】
美容室『vendange』オーナー 中様
美容師歴18年。南堀江にある美容室『vendange』のオーナー。ヘアスタイルだけにとどまらず、スキンケアの知識も豊富。女性の美を引き出すための技術の高さと情報収集力は顧客からも高い評価を受けている。今年春 堀江に2店舗目をオープン予定。
【森川さんプロフィール】
『一針入魂』21才でクリーニング店において、洋服リフォームの仕事に従事していましたが、会社から新規事業立ち上げのため、靴、バッグの修理研修を受け、理由あってバッグの会社へ転籍しました。
色々な修理を手がけたおかげでバッグ、サイフ、衣料、などの修理に生かされ、今となっては何でもチャレンジした事で、どんな修理品にも諦めずに挑めるようになり職人としての喜びを感じています。
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